2017年2月19日日曜日

整体教養論|免疫と自律神経

(1)交感神経と副交感神経のアンバランスが体調を崩す

身体は、大きく分けると、骨格系・筋肉系・消化器系・呼吸器系・循環器系・内分泌系・感覚器系・神経器系となりますが、ストレスを最初に受けて支障を来すのは神経系です。

神経には、脳と脊髄の中枢神経とその中枢神経から枝分かれし臓器や器官組織を結ぶ末梢神経があります。

更に末梢神経は自分の意志で動かすことのできる体性神経と自分の意志で動かすことのできない自律神経がありますが、脳が命令しなくても、生命を維持するために心臓や消化器官を動かしている自律神経は、ストレスを受けると最初に支障を来します。

免疫学で有名な新潟大学の安保徹教授の研究では、多くの病気の根本原因は自律神経の異常から起きると云います。

また、整体・指圧・鍼灸など手技療法は自律神経を調整する大きな効果があります。
教授は、指揉(ゆびも)みという薬指以外の指先を痛いくらい強く揉む方法でも自律神経を調整できると発表しています。
自律神経は、約60兆の人体細胞の働きを無意識のうちに調整しています。

交感神経は、主に運動時や昼間の活動時に優位になる神経で、心臓の拍動を高め、血管を収縮させて血圧をあげ、消化器官の働きを止めて体を活動的な体調に整えます。

副交感神経は、食事の時や休憩時に優位になる神経で、心臓の拍動をゆるやかにし、血管を拡張して血流を促し、心身をリラックスモードに整えます。
また細胞の分泌や排泄を促す働きがあり、副交感神経が優位になると消化液の分泌や排便が促進されます。
体調が良く健康な時は、交感神経と副交感神経のバランスがとれていて、上がり下がりが極端に急になりません。

前述しましたが、交感神経と副交感神経のバランスを崩すのはストレスです。
ストレスを受けると先ず交感神経優位に傾きます。
交感神経が緊張状態になると、血圧が上がり、動悸がして、食欲が低下し、長期間続くと体調不良から病気になります。

病気の多くは交感神経の緊張持続に起因しますが、交感神経の緊張状態が続くと、身体は守りの態勢に入り、副交感神経が優位になります。
守ること自体は良いのですが、守りすぎは良くありません。
ストレス過剰で鬱病(うつびよう)になるのも、年々患者数が増えているアレルギー疾患も副交感神経の過剰反応なのです。

体調が崩れている時は、交感神経の過緊張か副交感神経の過剰反応が起きているのです。


(2)顆粒球とリンパ球の働き

免疫力があるというのは、「丈夫で病気をしない・病気にかかっても治りが早い」と云うことです。

後述しますが、新潟大学大学院医学部安保教授の研究で、白血球に占めるリンパ球の状態を調べることで、その人に、その時に免疫力があるかどうかが分かるようになりました。

血液は、液体成分の血漿(けっしょう)と赤血球(せつけつきゆう)・白血球(はつけつきゆう)・血小板(けつしようばん)の細胞で出来ています。

免疫に関わるのはこの内の白血球です。
白血球は、約60%が顆粒球(かりゅうきゅう)、約35%がリンパ球、約5%がマクロファージです。

しかし、
顆粒球とリンパ球の割合は、
ストレス・天候・時間の流れでも変動します。

また、
顆粒球が増えればリンパ球は減り、
リンパ球が増えれば顆粒球が減るような仕組みとなっています。

■リンパ球を活性化する神経は、
くつろぎ休む時に働く副交感神経です。
リンパ球は、侵入してきたウィルスや異種タンパクなどの小さな異物を抗原抗体反応(こうげんこうたいはんのう)などで食い止める働きがあります。
リンパ球は細胞膜(さいぼうまく)の上にアセチルコリン受容体(じゆようたい)と云うものを持っていて、これが副交感神経からの命令を受けることになります。
アセチルコリンは血管の拡張を行う神経組織に含まれ、ストレス・睡眠不足などで副交感神経が働かなくなると、血行が悪くなり、アセチルコリンが発生せず、リンパ球が減少し、免疫力が低下して体調を崩すことになります。

■顆粒球を活性化する神経は、
ストレス時に働く交感神経です。
顆粒球は、細菌や真菌(しんきん)(カビの種類)など大型の異物が体内に侵入してくるといきなり食べてしまう貪食能(どんしょくのう)があります。
しかし、細菌を食べた顆粒球はすぐに死んでしまいます。
死ぬ時に顆粒球は活性酸素(かつせいさんそ)と云う毒をまき散らします。
活性酸素も適度ならば人体に役立つのですが、継続的に過剰になりますと組織を傷つけたり癌(がん)を誘発します。
顆粒球の細胞上にはアドレナリンと結合する受容体を持っていて、これが交感神経の命令を受けます。

自己防衛システムでありながら、
病気の原因にもなる顆粒球を支配するのが交感神経なのです。

■マクロファージは、
休憩時も活動時も働き、
リンパ球と顆粒球の両方の働きを持っています。
マクロファージは、交感神経の支配を受けるアドレナリン受容体と副交感神経の支配を受けるアセチルコリン受容体の両方を持っているからです。



(3)白血球に占めるリンパ球の割合で免疫力が分かる

新潟大学大学院の安保教授が、1万人を対象にリンパ球の比率と病気の発生の関係を調査しました。

副交感神経の働きが悪くなると、リンパ球が減少し、交感神経が優位になると顆粒球が多くなるのですが、リンパ球の割合で下表のような結果が出ました。

白血に占める白血球の割合

健康な人のリンパ球は、35%から40%で、病気を撃退できる安全圏です。

深部体温も約37度、腋窩体温36度以上が、免疫力が発揮できる健康体温です。

不快症状や病気のある人のリンパ球の比率は、減少し、体温も低下します。
(温泉療法・下半身浴などで体温を上げることでリンパ球が増えて免疫力が高まる理由です)

逆に、リンパ球の比率が50%以上に増えても、アレルギー疾患などとなり、体温も低下することが分かりました。

私達は継続的に強いストレスに晒されると、自律神経のうちの交感神経を強く緊張させ、それによって血管が収縮し、全身的な血流障害を起こすのです。
こうして生じた血流障害によって、筋肉には、疲労物質や痛みの原因物質が蓄積され、やがて患部で組織破壊が起こってきます。

従って、一般的に、治療に当たって大切なことは、交感神経優位に傾いた自律神経を、副交感神経をより働かせることで、そのバランスを取り戻すことにあります。

整体で、患者さんを気持ち良くさせるだけでも大きな効果があるのです。

安保教授のグループの研究で、ツボ刺激が、交感神経の働きを抑え、適度に副交感神経を働かせる作用があることが証明されたのです。

治療前と治療後の血液を採取して検査した結果、顆粒球とリンパ球に明らかな変化があったのです。

ツボを刺激するとリンパ球が増え、顆粒球が減少するのです。 これは交感神経の働きを抑え、副交感神経の働きが活発化されている証拠なのです。

そして、リンパ球が増加すると言う事は、人間の免疫力が増加する事を意味し、ツボの刺激効果は、人間の免疫力を高める作用があるということになるのです。


次の節から、もう少し詳しくまとめていきます。

大切なのは、代替医療としての整体・リフレクソロジーなどによるツボや反射区への刺激は、副交感神経を優位にしてリンパ球を増やし、免疫力を高めて様々の症状を改善できることを理論的に記憶して下さい。

患者さんに対応する時に、医学的な裏付けがあれば、自信を持って施療することが出来ます。


第2節 免疫
                                                                             
整体法を始め、リフレクソロジー・指圧・鍼灸などの代替療法は、自律神経の働きと密接な関係があります。

刺激の方法によって、自律神経を刺激して、内臓組織などの機能を抑制したり、促進したりすることが可能です。


(1)免疫力 = 自然治癒力
                                                       
人間の身体には、外部から侵入したウィルス・細菌などや体内でできたガン細胞などの異分子と戦って、自分の健康を守る力があります。

しかし、30歳ぐらいから免疫力が低下してきます。

ちなみに、癌は40歳以上から多く発症しますが、これは免疫力が低下するためと考えられています。

免疫力は、血液の中にある白血球が関与しています。
そして、白血球に影響を与えるのは自律神経です。

血液は、血漿(けつしよう)と云われる液体成分(約55%)と血球(45%)から構成されています。

血球には、組織に酸素を運ぶ赤血球、免疫に関与する白血球、出血時に止血の役目を持つ血小板があります

そして、これらは骨髄で作られます。                        
                                                                               
(2)免疫に関与する白血球

 免疫に関与する白血球は、リンパ球・単球(たんきゆう)・顆粒球(かりゆうきゆう)に分類されます。

①骨髄で生まれたリンパ球の内、一部は心臓の上部にある胸腺(きようせん)と云う器官に送られて異物を見分ける教育を受けます。

こうして教育を受けたリンパ球はT細胞と呼ばれ、殺し屋(キラー)・助っ人(ヘルパー)・抑(おさ)え役(サプレサー)の役割分担をします。      

キラーT細胞 … 病原菌やウィルスに感染した細胞や腫瘍(しゆよう)細胞を殺します。  
ヘルパーT細胞 … B細胞に抗体を作る情報を送り、B細胞の働きを助けます。  
サプレッサーT細胞 … 免疫反応が過剰になった時にそれを抑えます。  
     
②胸腺に送られなかったリンパ球は、B細胞やNK細胞と呼ばれます。           

B細胞 … ヘルパーT細胞から情報を得て、抗体という1度体内に侵入した細菌・ウィルスなどに対して抗体(こうたい)を作ります。抗体は、体内に侵入してきた細菌・ウイルスなどを抗原(こうげん)として認識して体内から除去するように働きます。麻疹(はしか)やおたふく風邪は1度かかると2度とかからないのはB細胞が抗体を作るからです。インフルエンザの予防注射も身体に軽いインフルエンザウィルスを入れて抗体を作るのです。                        
NK細胞 … ナチュラルキラー細胞と云われ、生まれながらの殺し専門の細胞です。しかし、ストレスの影響を受けやすくストレスにさらされると抵抗力が落ちます。                            

③ 単球は、血管から出てリンパ節等の組織に移るとマクロファージ(大食細胞)と呼ばれます。顆粒球も食作用がありますが、マクロファージは顆粒球の10倍の食作用があり、大食細胞(たいしよくさいぼう)と呼ばれます。              
                                                                               
④ 顆粒球
顆粒球は血液の流れに乗って全身のパトロールにあたり、体内に侵入した細菌や細胞の死骸などを食べて分解し身体を守ります。
細菌の侵入した傷口には、顆粒球が大量派遣されます。
顆粒球は細菌・真菌(カビ類)などの大きな異物を食べて処理し、リンパ球はウイルスやガン細胞などサイズの小さな異物を処理するという具合に、異物の種類と大きさによって役割が分かれます。
マクロファージは異物と顆粒球やリンパ球の死骸を処理する働きがあります。

しかし、問題はここなのです。
顆粒球の寿命は2~3日で、死ぬときに大量に活性酸素を放出します。
体内の活性酸素の約8割は顆粒球が放出したものです。
活性酸素は、増えすぎるとその強力な酸化力で臓器や血管などに障害を与えます。動脈硬化、ガンといった症状や病気の引き金となります。 
 
交感神経の過緊張 ⇒ 顆粒球の増加 ⇒ 活性酸素の増加 ⇒ 身体組織・臓器の障害
と云う経路で、病気になります。


 (3)体液とは? = 血液・組織液・リンパ液                                                                              
血管の中を流れている血液の、液体部分の一部が、血管の壁を通って血管の外に出ます。これが組織液(そしきえき)です。

組織液は、細胞のすきまを埋めて細胞に酸素・栄養を配り、細胞が活動してできた老廃物を流し去ったりする重要な役割をしています。

動脈から浸み出してきた組織液は、細胞のまわりで仕事をしたあと、静脈の壁を通って血管に戻りますが、戻りきれなかった液体は、下水管の働きをするリンパ管を通って鎖骨の下にある静脈に排水されます。
リンパ管に入ったものをリンパ液と云い、主に血漿と白血球の一種であるリンパ球から構成され赤血球は含まれていません。(従って赤い色をしていません)

組織液と血管・リンパ管とのやりとりがスムーズに行われないと、細胞の周りの結合組織(コラーゲンやヒアルロン酸などから成ります)が余分の組織間液を含むようになってしまい、むくみの原因となります。

むくみは、整体法・リフレクソロジー・アロママッサージなどによって、改善することが可能です。

また、反対に、老化によりコラーゲンやヒアルロン酸と云う物質が減少すると、必要な組織間液を保持できずシミ・シワの原因ともなります。

第3節 自律神経 
                                                                     
(1)自律神経 

人間の身体は約60兆の細胞から構成されていますが、自律神経はこの膨大な数の細胞の働きを無意識に統括・調整している神経です。
 
自律神経は心臓や血管、消化器官、汗腺など内臓諸器官の働きを調整しています。
自分の意志でに関わらず働くことから自律神経と呼ばれています。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、両者はそれぞれ正反対の働きをして、身体のバランスを取っています。

交感神経は主に運動時や昼間の活動時に優位になる神経で、心臓の拍動を高め、血管を収縮させて血圧をあげて、身体を活動的にします。活動の神経、戦いの神経と云われます。また、ストレスを感じた時にもストレスに対抗するために優位になります。

副交感神経は食事や休憩時に優位になる神経で、 心臓の拍動をゆるやかにし、血管を拡張して血流を促し、心身をリラックスさせます。
また、副交感神経が優位になると消化液の分泌や排尿・排便が促進されます。
リラックの神経、くつろぎの神経と云われます 。


(2)安保(あぼ)・福田理論
(安保・福田理論では、白血球の総数と顆粒球・リンパ球の割合を知ることで心身の状態が推察できる研究を進めて成果を上げています)  

  安保 徹 博士  (新潟大学医学部大学院教授)                  
  福田 稔 先生  (昌平クリニック)            
          
 先生達の研究結果をまとめると次のようになります。
 繰り返しになりますが、整体施療の効果についての大切な理論です。

 交感神経も副交感神経もどちらかに偏りすぎると身体に悪影響を与えます。 

「多くの病気の原因は、交感神経の持続的緊張がもたらす血流障害と白血球のアンバランス(顆粒球の増加による組織破壊)にあります」                
                                                                               
ストレスや冷えにより交感神経の緊張状態が続くと、血管を収縮させ、全身的な血流障害を起こし、筋肉や内臓などに疲労物質や痛みの原因物質が蓄積され、やがて痛みや機能不全が起こります。

また、体液は弱アルカリ性でければ十分な働きをしませんが、交感神経緊張時にはアドレナリン・ノルアドレナリンと云う物質が分泌されますが、この物質は酸性で体液を酸性に傾かせます。
(アルカリ食品は身体に良いということを聞いたことありますか?)

このような症状には、交感神経優位に傾いた自律神経を、副交感神経をより働かせることで、血液の流れを良くし、そのバランスを取り戻すことです。
ちなみに、副交感神経優位時にはアセチルコリン・βエンドルフィンなどと云う物質が分泌されて、体液をアルカリ性に傾かせます。

交感神経が優位になると、白血球のうちリンパ球が減少し、顆粒球が多くなります。

実験の結果、ツボを刺激するとリンパ球が増え、顆粒球が減少します。
これは交感神経の働きを抑え、副交感神経の働きが活発化されている証拠であり、リンパ球が増加すると云うことは免疫力が増加する事を意味します。
つまり、ツボの刺激効果は免疫力を高める作用があるということです。

副交感神経が持続的に過敏になると、リンパ球の数が増えすぎて、身体に入ってくる様々な異物に対して過剰な反応を示し、アレルギー症状となります。

また、副交感神経の働きが過度に継続すると、血管拡張で血液の流れが緩やかになりすぎ、静脈が血液を還流しきれなくなり、「鬱血(うつけつ)」を引き起こし、有害物質が蓄積しやすくなります
この状態でストレスを受けて交感神経緊張するとアトピー性皮膚炎や花粉症が発症しやすくなります。

のぼせは典型的な鬱血症状(うつけつしようじよう)(静脈血が対流している様態)です。
また、副交感神経優位が長く続くと小児喘息(しようにぜんそく)なども招きやすいとされます。

従って、治療に当たっては、副交感神経優位に傾いた自律神経を、交感神経をより働かせるようにすることで、そのバランスを取り戻すことです。

実験の結果、ツボを刺激するとリンパ球と顆粒球のバランスを調整できることが確認されています。                

食べ過ぎ、肥満、運動不足、過保護などで過剰にリラックスしすぎていると、身体は、これではいけないとエネルギーの消費を上げるため、交感神経優位となり、心拍数や血圧を上げ、心臓などに負担をかけることとなります。
太った人や食べ過ぎた時に心拍数が上がり呼吸が速くなるのはこの為です。

過剰なリラックスの行き着く果ては、交感神経緊張の結果となります。  
         
第4節 白血球 
                                                                     
自然治癒力に関わる白血球についてまとめてみましょう。

白血球   5000~8000/mm3
顆粒球    … 
3600~4000/mm3(白血球の54%~60%)   
身体に炎症がある時は1~2万個/mm3に増え、白血球全体の90%に達することもあります。
血液検査で顆粒球が正常値を超えている時は虫垂炎(ちゆうすいえん)、 扁桃腺炎(へんとうせんえん)、肺炎などの発症が疑われます。
顆粒球は血流に乗り、全身をパトロールしています。                              
大型の細菌や真菌(カビの総称)を食い殺します。
細菌の侵入した場所へ 大量動員されるとともに、骨髄で増産されます。            
 好中球・好酸球・好塩基球がありますが、95%が好中球です。                    
寿命は2~3日と短く、死ぬ間際に活性酸素をまき散らします。           普段でも、身体全体から発生する活性酸素の80%が顆粒球から放出されます。
顆粒球の数が正常ならば活性酸素の害はありませんが、顆粒球が増えて放出量過剰になると弱った組織の粘膜が酸化され異常を来たします。   
活動時には交感神経優位になりアドレナリンが分泌されますが、顆粒球にはアドレナリンレセプターがあり、交感神経優位時に顆粒球が活性化します。                        
   
リンパ球   …
2200~3000/mm3(白血球の35~41%)        
若 い人ほど多く、加齢とともに減少する傾向にあります。                          
T細胞とB細胞が連係して、極小さなウィルスや異種タンパクを「抗原(こうげん)] とみなし、「抗体(こうたい)」を作り、身体を守ります。
NK細胞は太古のなごりでマクロファージの食機能を引き継いで おり、交感神経の支配下にあります。パーフォリンと云うタンパ ク質を分泌してガン細胞を殺しますが、 癌患者は強い交感神経緊張状態にありNK細胞も増えているが、パーフォリンの分泌機能を司どる副交感神経が抑制されているため、ガン細胞を殺せなくなっています。
      
*副交感神経優位時にはアセチルコリンが分泌されますが、リンパ球にはアセチルコリンレセプターがあり、副交感神経優位時にリンパ球が活性化します。      

 単球  :
リンパ系に入りマクロファージと呼ばれるものになります。            
アメーバー状態の免疫細胞で、体内に異物が入るとこれを食べたり、くっついて殺したりします。顆粒球、リンパ球の祖先です。                    

 マクロファージは、交感神経・副交感神経双方の刺激を感知、顆粒球は交感神経、リンパ球は副交感神経の刺激を感知して活性化します。      

   天気の良い日は高気圧(酸素が濃い)      天気の悪い日は低気圧(酸素が薄い)
      →活動的→交感神経優位                      →休憩モード→副交感神経優位  
   活動的になるとケガしやすい                   食事は異種タンパクやウィルスが侵入
      →傷口の細菌を処理する顆粒球を           →顆粒球で処理不能なリンパ球を必要
        必要とする                                   とする                          

                                                                             
*身体の酸性・アルカリ性は、食べ物のみでなく、自律神経に関係します。      

 一般的に、動植物は全体としては中性です。
動物の場合、体液は弱アルカリ性、胃は 強酸性、腸は弱アルカリ性です。                                              
*黒目(瞳孔(どうこう))を観察すると、自律神経の状態が分かります。

ご自分の黒目の大小と位置で自律神経状態を調べてみましょう。                      

     水浴して黒目が大きくなる          自律神経の                    
     温浴して黒目が小さくなる            バランスが取れている  

     交感神経優位  ⇒ 黒目が大きい ⇒ 黒目の位置が内向き        
     副交感神経優位 ⇒ 黒目が小さい  ⇒ 黒目の位置が外向き        

     黒目の位置が中央の時は自律神経のバランスが良い状態と考えられます。        


* 激しい運動・肉食・怒り・ストレス・水浴など                              

                 ⇒交感神経優位となります                                      
                 ⇒ アドレナリン、ノルアドレナリなど分泌 されます              
                 ⇒ 血液酸性に傾きます                                                


* ハイキング・野菜食・喜び・入浴など                                

                 ⇒ 副交感神経優位となります                                  
                 ⇒ ドーパミン、β-エンドルフィンなどが分泌されます                              ⇒ 血液アルカリ性に傾きます                                  
                                                                               


整体は、自律神経を整えて、リンパ球と顆粒球の割合を変え、自然治癒力を増進し、
健康を回復・維持します。

患者さんやお客様には、「整体は身体に良いんです」と言うだけでは信用されません。
この章の理論を、自分で説明できれば、整体の効果は更に上がります。
効果を信じて施療しているのか、効果は分からなくて施療しているのかで、全く違います。
 医学博士が証明してくれているのですから…。
 自信を持って整体施療を行いましょう!

第5節 副交感神経刺激法の例(リンパ球を増やす方法)
                                                                     
副交感神経を刺激するとリンパ球が増加します。
リンパ球が増加すると免疫力が高まります。

整体法・リフレクソロジー・鍼灸・指圧などの代替医療が副交感神経を刺激することはすでに説明しましたが、以下のような方法も報告されています。


1.グリチルリチン酸の摂取(せつしゆ) … 甘草(かんぞう)(ステビア)として漢方薬に使われます        
      抗炎症作用(こうえんしようさよう)、副交感神経刺激作用を持つ物質です。                        
      ステビアの濃縮液が花粉症や糖尿病に良いとされています。          


2.刺絡療法(しらくりようほう)

手足の爪の生えぎわには、
井穴(せいけつ)と呼ばれるツボがありますが、
ここに針を刺して少量の血液を出血させることで、
自律神経と免疫機能を調節して、
顆粒球とリンパ球のバランスを整え、病気を治す治療法です。
 
いろいろな難病に効果があることを安保-福田理論で実証しています。

井穴の刺激(本来の井穴のみでなく爪甲根部(そうこうこんぶ)両側で副交感神経刺激となる)
                母指 … 肺、気管支など呼吸系に効果。                        
        示指  … 胃腸など消化吸収系に効果。                          
                中指  … 臓器的には不明であるが、全身の血流改善に効果。      
                薬指  … 内臓全体の働きに関与するが、強い刺激は交感神経緊張。
                          副交感神経緊張で発症する小児喘息(しようにぜんそく)などに効果。        
                小指  … 心臓、腎臓など循環排泄系に効果。                    

手と足の第4指の井穴は、副交感神経の異常亢進を抑制します。

免疫異常の各種アレルギー疾患、 胃・腸痙攣・胆石痛、胃・十二指腸潰瘍・慢性
下痢症、月経痛・子宮異常出血、夜尿症、低血圧症などに効果的です。 


3.爪の生え際をもむ(安保-福田理論で推奨)

われわれ整体師は、鍼灸資格がありませんので刺絡療法が行えません。
刺絡療法ほど速効性はありませんが、続けて行うことで確かな効果が得られます。

患者さんに指導しましょう。
軽い刺激では効果がなく「痛いな」と感じる程度が適しています。。

刺激する場所は、手の指の爪の生え際の角あたりです。
右手の親指と人差し指で、左手の親指の爪の生え際の両方の角をはさむようにして、30秒ほどギュッと力を入れて押さえます。
これを親指、人差し指、中指、小指の順に行います。
一般的な病は、交感神経の過緊張に起因しますので、薬指は刺激しないようにしましょう。
同様に、左手の親指と人差し指で、右手の親指、人差し指、中指、小指を刺激してください。
これを毎日1~2回行うと効果が出てきます。                                                                    

「刺絡療法」や「つめ揉み」療法 は、
いやなもの反射(副交感神経反射)
と云う身体の防衛機能を利用したものです。

以前、学んだ「神経を抑制するには強く、神経を促進するには弱く揉む」と云う刺激の法則を思い出してください。
 
例えば、食べ過ぎ飲み過ぎで、胃が働きすぎて胃酸過多など交感神経緊張状態の時は、
少し強めの刺激を与えると、いやな物反射で副交感神経優位となり胃の調子が改善されます。                                                  
痛みを伴う程度の刺激を約10秒~30秒加えると、痛みを排泄しようとする反射が起こり、副交感神経優位となります。
(涙、よだれ、排尿、胃液分泌など汗を除く全てが副交感神経の支配下にあります)          
 酸っぱい物や苦いものを食べると唾液がでるのは、その味を薄めようとする副交感神経の働きで、その結果、交感神経緊張が解消されています。

4.その他の療法                                                                              
東洋医学では、人体には十二正経と八奇経が流れており、この経絡や経脈が、生体エネルギーの通路のような役割を持っていると云われます。

その生体エネルギーが電気的な性質を持っている事を、京都大学の中谷義雄(なかたによしお)先生が発見し、良導絡療法(りようどうらくりようほう)を考案しました。 

また、北里大学東洋医学研究所の間中喜雄(まなかよしお)先生が、経絡上の生体電流コントロール法(イオンパンピング)を考案し、この間中理論をもとに、磁気NS療法、金銀粒針療法、硬貨を用いる11円療法等が発表されました。 
これによって、鍼灸の資格を持たなくても、同等の効果を出せるようになりました。

この間中喜雄先生のイオンパンピング療法は、画期的な療法でした。
膝関節炎の痛みや坐骨神経痛の苦しみを瞬時にとり、その療法は、他に比類のないものでした。
間中理論に基づく、磁気や異種金属を用いる各種の応用療法が沢山案出されたのも、その効き目が素晴らしかったからです。

これらの療法の全てで、交感神経の過緊張の緩和やリンパ球の増加が見られます。
皆さんも研究してみてください。



5.鎮痛剤(アスピリン・インドメタシン・ケトロプロフェン等)の使用は…      
 
痛み止めの代表的な成分には、アスピリン、インドメタシンどがあります。

これらの成分は、体内でプロスタグランジンと呼ばれる痛み物質が作られるのをおさえる働きがありますので、痛みの緩和に効果があります。
 
しかし、プロスタグランジンは知覚神経を過敏にする反面、交感神経の働きを抑制していますので、回数を重ねて分泌を止めると交感神経異常緊張となり、顆粒球が増加して活性酸素が組織を傷つけることとなります。
 
アスピリンなど飲み薬と同時に、医師が胃薬を処方するのは、顆粒球が増えて、それがはき出す活性酸素が胃組織を痛めるからで、アスピリン自体が直接的に胃壁を傷つけるのではありません。

緊急の症状がひどい場合でなければ、出来れば鎮痛剤は使わない方が身体にはよいと云うことです。

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