2017年2月22日水曜日

整体教養論|整体とは…その役割

第1節 未病

身体の具合が悪く、気になる症状があれば病院に行くと思います。
そして色々な検査で異常がなければ一安心でしょう…。

しかし、
気になる症状がいつまでも解消されないでいることはありませんか?

もしかして体の歪みが原因?

正解! そうなのです。
予想以上に多くの場合、身体の歪みが原因です。  

「多少は不快だけど、命に関わるわけでもなさそうだし、検査では悪いところもないし、まぁ、いいか……」のような状態を「未病」といいます。

病院の診察や検査で、その不快な部分に異常がないということであれば、その場所と他の部分とがお互いにきちんとしたバランスを取り合っているか(歪みがないか)どうかを
チェックしてみましょう。 

病院の検査で分かるのは、腰、肩、首、耳、目、胃、肝臓などの組織や器官そのものに
異常があるかどうかということです。
これを調べるのはもちろん大切で、本当に病気の場合は、それを治すのは病院の役目です。
  
しかし、病院で異常がないといわれたが、不快な症状がある場合は、不快な場所を中心にして身体のバランスが正常かどうか、すなわち、身体に歪みがないかどうかを調べて、
修正することで回復する可能性は大きいのです。

歪みのチェックは、腰の位置と肩の位置と首の傾きをチェックすることです。
それによって、背骨の曲がり方が推定できます。

実際は、伏臥位で、背骨の棘突起の並びを触診して決定します。

第2節 筋骨性の歪み  ⇒ 外因性の歪み

1回か2回の整体で、身体の不調が楽になった!という場合、
それは「筋骨性の歪み」である場合がほとんどです。 

筋肉・骨は、打撲・捻挫などで筋肉が損傷したり骨折などを起こさない限り、ひとつひとつの筋肉・骨は組織的には正常と言えます。

しかし、筋肉は縮んでしまったり、緩(ゆる)んで伸びてしまっている状態で、筋肉としての機能が充分に果たせず、骨格を歪ませたり、コリや痛みとなって現れます。

人体はたくさんの骨や筋肉が複雑につながり合ってバランスを保ちながら、快適な動きができているわけですが、外的障害や生活習慣などで、バランスがどこかで乱れ、骨格が歪むと、身体全体の動きに影響し、痛みや不調につながっていきます。この状態を「筋骨性の歪み」といいます。

例えれば、自転車のチェーンがはずれた状態です。
チェーン自体が切れた訳ではありませんから、はめ直せばもと通り動きます。

1回か2回の整体で、チェーンを元に戻して痛みや不調が消えるような場合は、もう1回か2回来てもらい、チェーンに油を注しておくことです。後は月に1回くらい、または疲れた時に来て、バランスを整え、ネジを締め直して、チェーンに油を差せば大丈夫です。
しかし、筋骨性の歪みも、そのまま放置しておくと慢性化して、他の筋肉・骨格部位のコリや痛みとなったり、心臓・肺・肝臓・胃など内臓の不調となるので、注意が必要です。 

例えば、偏った姿勢や運動で、右肩が下がった体型になると、肝臓を圧迫し続けて肝臓を疲れさせます。そうなると、ますます肝臓をかばって右に傾いた姿勢を取るようになります。胃が痛い時は、猫背で前屈みの姿勢となることを思い起こせば理解できるでしょう。
動物は具合が悪いところをかばう姿勢を知っているのです。それがますます身体のバランスを崩す結果となります。

筋骨性の歪みでも侮れないのです。

第3節 内臓性の歪み ⇒ 内因性の歪み

長い間、整体や指圧・マッサージ等どこに通っても不快症状が改善しないという場合は、
筋骨性の歪みのみが原因ではありません。

現代では、偏った姿勢や偏った動きのような外的要因からの身体の歪みではなく、内臓の疲れのような内的要因からの内臓性の歪みが多くなってきております。 

現代人は、「人間・会社関係のストレス」「夜ふかし」「睡眠不足」「昼夜逆転の生活」「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」「遅い時間の食事」「食べてすぐの就寝」「肉食過多」「運動不足」など、これらがひとつも当てはまらない人ほぼいないのではないでしょうか。 

これらの生活習慣が長期に渡って続くと、内臓に大きな負担をかけます。

特に、胃や肝臓といった「消化器系」にしわ寄せのくることが多いのです。すると、荷物を常に右肩で持つなどの外的要因がなくても、身体は疲れた胃や肝臓を中心として左、もしくは右に傾きます。これが内的要因から起こる体の歪みです。 

心臓もストレスから大きな影響を受けます。
ストレスを受けると、自律神経のうち交感神経が優位となり、血管を収縮し血圧を上げ、心臓が疲れます。 

内臓性の歪みを修復するには、背部と腹部の整体が非常に重要となります。


第4節 整体の役目

骨折など大ケガは、まず病院で手当を受けます。

そのケガが治った後、そのケガによって受けたショックを取り除いたり、受傷部位を中心とした全体のバランスの歪みを整え、原因不明の偏頭痛、肩こり、生理痛、便秘等のもとを解消するのが整体の役目です。

胃潰瘍、心筋梗塞、虫垂炎などの病気は、病院での治療が最優先です。

整体は、病気になる前に、心臓が疲れやすい体質、胃腸に負担がかかりやすい体質などを
身体の歪みから推定して、そうならないような体のバランスに整えていきます。  

身体の各部分(腰や肩、首、耳、目、胃、肝臓その他の器官)が、偏った生活習慣などによりバランスを崩すと、どれか一部の器官に負担がかかり続けて痛みや不調の土台になります。

この時点では未病で、痛みや不調はあったとしても病気ではない状態です。
単にその器官か組織の働きを抑え込まれているか(東洋医学では虚といいます)、逆に、働き過ぎている状態(東洋医学では実といいます)です。

それが長い間続くと、ついには負担がかかっていた部分そのものが本格的な病気になっていきますから、その前に全身から眺めたお互いのバランスを取り直し、一部分だけにかかっていた負担を解放してあげれば、病気を未然に防ぐことができます。  

また、不幸にして病気にかかってしまっても、病院での治療により回復したならば、再び同じことを繰り返さないように、負担のかかりやすい部分に再び負担がかからないように
バランスを整えていくことができます。

要するに、ケガでも病気でも、その前後で起こる不調に対応することに、整体の役目があるのです。 
さて、その「整体」ですが、広辞苑によると「手技によって骨格のゆがみや異常を整え、健康増進をはかる民間療法。オステオパシー・カイロプラクチックの類。」とあります。

ここから分かりますように、「整体」とは「体を整える」目的を持つ様々な療法の総称ということができます。

しかし、他に「整骨」「接骨」など似たような言葉があるため、紛らわしく感じることがあります。
「整骨」は広辞苑では、「ほねつぎ。接骨。」となっており、「整骨」と「接骨」は同義語だと言えます。これらは「くじいたり折れたりした骨をつぎあわすこと」が仕事で、

整体は「骨折や捻挫などの怪我がなく、医学的には異常がない身体のバランスを整えること」が仕事になります。  

*整体教養論は、整体法独習教本の内容よりも、患者さんやお客様との接客では、重要となることもあります。

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